色素沈着を治す成分と副作用
色素沈着を治すあるいは効果のある成分は 「ハイドロキノン」、「アゼライン酸」など、 多くの種類がありますが、 原因が同じであっても、 発生箇所(表皮あるいは真皮層)、 個人の肌の色、医師の経験などにより、 使用される成分は異なります。そして、これら色素沈着を治療する成分には、 副作用・リスクもあります。
ここでは、色素沈着を治す成分について、 その効果と副作用について、紹介しています。
色素沈着を治す成分一覧
色素沈着を治す成分
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ハイドロキノン(ヒドロキノン)
ハイドロキノンは、- メラニンの産出に関わるチロシナーゼの合成阻害
- メラノソームを劣化させる
一方、「肌の漂白剤」とも言われるようにその作用は非常に強く、 周囲の正常な皮膚の色素も脱色してしまう場合があるなど、 幾つかの副作用、有害性も認められています。
副作用
- 接触性皮膚炎
- 爪の変色
- 永久白斑
- ハロー効果
- 重度のアレルギー反応
ハイドロキノンの副作用については、 ハイドロキノンの副作用をご参照下さい。
アゼライン酸
小麦やライ麦など、天然に存在する成分です。酒さやにきびなどの炎症治療薬として利用されるほか、 チロシナーゼ阻害剤としてメラニンの生成を抑えるため、 肝斑などの色素沈着の治療にも利用されています。
1998年アメリカ カリフォルニアで行われた研究「アゼライン酸20%クリームと色素沈着過剰の治療(安全性と有効性の評価)」によると、 24週間の治療により、対象者の主観的評価およびクロノメーター分析(色素沈着を評価する機器)の両方において、 色素強度を大きく減少させた、と記述されています。
副作用
アゼライン酸は重度な副作用は少ないと言われるものの、 肌の乾燥、かゆみ、ひりひり感、灼熱感などを感じることがあります。また、色素沈着治癒が目的ではなく、 ニキビや酒さを目的とした場合、 皮膚の脱色は副作用として捉えられます。
その他、非常に可能性が低いものの、 喘息、アレルギー反応、発疹などの症状が出ることもあります。
レチノイド
いわゆるビタミンAです。医学的には、 体表面を覆う「表皮」の増殖をもたらし、 コラーゲンの生成や皮膚の新陳代謝が活性化されることから、 にきび、乾癬、カポジ肉腫など皮膚病変の治療に用いられるほか、 美容目的ではしわ防止、色素沈着の治療に利用されます。
副作用
- 皮膚の乾燥
- かゆみ
- 皮膚の発赤、腫れ、剥離
- 色素変化(脱色だけでない変色)
- 日光過敏症
- じんましん
- 呼吸に関わる問題
そのため、医師の処方に基づくものの、少量で使用することや、 人によっては2~3日に1回程度の利用が適している場合があります。
また、レチノイドは日光に対して肌を敏感にするため、 レチノイド利用時は、肌を露出しないよう、警告する医師もいます。
詳しくは トレチノインをご参照下さい。
アスコルビン酸(ビタミンC)
アスコルビン酸(ビタミンC)は、 天然由来の強力な抗酸化剤です。紫外線による肌の老化防止のほか、 抗炎症、メラニン形成阻害剤やコラーゲン生成成分として、 色素沈着の治療に使用されます。
ただし、ビタミンCは真皮に届きにくいため、 成分が肌に届きやすく壊れにくい他の成分(マグネシウムアスコルビルホスフェートなど)に変更され、 商品化されることが一般的です。
副作用
皮膚へのアスコルビン酸の添付は、 安全性も高く副作用もほとんどありませんが、 一部に発赤、皮膚の暖かい感じ、紅潮などをもたらす場合があります。ナイアシンアミド(ビタミンB3)
ナイアシンアミド(ビタミンB3)は、 ケラチノサイトへのメラノソームへの転送を阻害することで、 色素沈着を減少させます。P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)がマシュルームを使った研究によると、 メラニンの形成には影響を及ぼさなかったものの、 35~68%メラノソーム転送を阻害し、色素沈着を大幅に減少させた、と報告されています。
副作用
ナイアシンアミド(ビタミンB3)に関して、 副作用の有無を知るための情報はほとんどありません。※経口摂取による副作用は除外しています。
※これは「安全である」という意味ではなく、副作用に関わる研究そのものが不足していることを意味しています。
N-アセチルグルコサミン
N-アセチルグルコサミンは、 ヒアルロン酸の前駆体(元となる物質)であり、 人間の組織、自然界に存在するアミノ糖です。ハーバードメディカル・スクールで行われた実験では、 N-アセチルグルコサミンとナイアシンアミドの組み合わせが、 有意に顔のシミや色素沈着の出現を減少させた、と評価しています。
また、 エスティーローダーが行った研究では、 皮膚の保湿の増加、フレーク状の皮膚の減少(キメの改善)、角質層剥離の正常化(新陳代謝の正常化)なども報告されています。
副作用
N-アセチルグルコサミンに関しても、 副作用の有無を知るための情報はほとんどありません。※経口摂取による副作用は除外しています。
※これは「安全である」という意味ではなく、副作用に関わる研究そのものが不足していることを意味しています。
アルブチン
クマコケモモ属という植物から抽出される成分で、 その他、小麦や梨(皮部分)などに含まれる成分です。チロシナーゼ活性阻害やメラノソームの成熟も阻害することから、 脱色効果のある美白成分として利用されています。
副作用
アルブチンの濃度が高いほど、逆説的に色素沈着過度につながるケースが確認されているほか、 アルブチンの効果はハイドロキノンへの加水分解によるものであると考えられることなどから、 ハイドロキノンと同じ副作用をもたらす潜在的なリスクがあります。一方、ハイドロキノンの利用を制限・禁止しているヨーロッパの消費者安全科学委員会(SCCS)は、 2015年の発表において、 フェイスクリーム2%、ボディローション0.5%までの濃度において、 αアルブチンの使用は安全とみなす、という意見を発表しています。