色素沈着の原因⑤(生活・体調)
色素沈着、皮膚変色のうち、 生活習慣や体調変化を原因とするものについて、紹介しています。- 紫外線(太陽への露出)
- 新陳代謝の乱れ
- ストレス
- 妊娠などホルモンの変化
- アレルギー
- 摩擦、こすり過ぎ
- 特定の薬
- 鉄分や重金属の過剰摂取
- 特定の食品
- アルコール
- 脱毛
- 敏感肌
その他の色素沈着の原因については、 色素沈着の原因一覧をご参照下さい。
紫外線(太陽への露出)
紫外線によるメラニン形成は、皮膚の損傷を防ぐための、人間の保護機能です。しかし、慢性的な紫外線への暴露は、 シミ(肝斑、そばかす、老人性色素斑など)などの色素沈着のほか、 最近では、世界保健機構(WHO)が、 基底細胞癌(BCC)、扁平上皮癌(SCC)など、ガンの原因(悪性黒色腫)になることを認めています。
日焼け止め、サングラス、帽子などで皮膚の露呈を減らすことで、 防止できます。
新陳代謝の乱れ
表皮にできる色素沈着は通常、 新陳代謝によって垢として剥がれ落ちます。しかし、新陳代謝が乱れてしまうと、 この垢として剥がれ落ちるメラニン色素が角質層に長くとどまるため、 メラニンの層が厚くなり皮膚の色を暗くしてします。
また、新陳代謝の乱れは、角質層の肥厚とメラニンの排出を遅らせるだけでなく、 水分量の変更(乾燥)、皮膚表面の凹凸(キメの乱れとシワ)を作り出してしまい、 肌の明度(明るさ)の低下が見られるようになります。
ストレス
ストレスが色素沈着の原因となるのは、 ストレスに対抗しようとして、副腎が活性化するためです。副腎の活性化とメラニン色素の増加の関係は、 副腎皮質刺激ホルモンが産出するプロオピオメラノコルチン(POMC)が、 メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)の前駆体(元となる物質)であるためです。
そのため、 ストレスに対抗しようと副腎機能が活性化することは、 メラニンの過剰産生につながります。
2003年に資生堂は、 「ストレスによって副腎皮質刺激ホルモンが放出され、 メラノサイトでチロシナーゼを活性化し、 紫外線誘発性色素沈着の増大をもたらす。」と発表しています。
同様に 2007年、化粧品会社エイボンは「人の皮膚の色素沈着:メラノサイトはストレスに応答して肌の色を変える」 という論文を発表しています。
妊娠などホルモンの変化
ホルモンの変化は色素沈着の原因の1つです。色素沈着に影響するホルモンの代表は、 メラニンの産出を行うメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)ですが、 妊娠や甲状腺機能低下症、経口避妊薬、ストレス(副腎皮質刺激ホルモン)なども、 このメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)を刺激し、メラニンの過剰生産をもたらします。
その他、 インスリン抵抗性、アンドロゲンの過剰循環などは、 黒色表皮症の原因となります。
これらホルモン変化による色素沈着については、 色素沈着の原因(ホルモン変化)をご参照下さい。
アレルギー
アレルギーによる色素沈着は、 起炎物質がメラノサイトを刺激し、 メラニンの産出を増加させるためです。また、炎症による色素沈着は、単にメラニンを生成するだけでなく、 基底層を破壊するため、 表皮だけでなく、真皮にも色素沈着を引き起こす場合があります。
このような現象は、医学的には「炎症後色素沈着過剰」と呼ばれ、 色素沈着を伴うアレルギーや皮膚疾患の代表は、 アトピー性皮膚炎、全身性エリテマトーデス、 慢性皮膚炎、乾癬などです。
また、アレルギーは症状によってはかゆみを伴う場合もあるため、 「摩擦性黒皮症」(以下説明あり)も同時に引き起こす可能性があります。
摩擦、こすり過ぎ
摩擦による色素沈着は医学的には「摩擦性黒皮症」と呼ばれます。これは、皮膚への過剰刺激が原因で、 入浴時のナイロンタオルの利用が最も多いものの、 ブラジャーの摩擦や、 洗顔時の皮膚への過剰刺激が目のクマの原因になると指摘する医師もいます。
特定の薬
肌が黒ずむ、あるいは色素沈着を引き起こす薬は、 大きく3つのメカニズムによってもたらされます。- 皮膚内部への薬物そのものあるいは薬物代謝物の累積
- 薬によるメラニン増加、メラノサイトの活性化
- 薬の副作用による炎症と炎症による色素沈着
- 抗精神病薬(クロルプロマジン※劇薬指定)
- てんかん薬(フェニトイン)
- 抗マラリア薬(クロロキンなど)
- 白血病(ブスルファン)
- 抗癌剤(シクロホスファミド)
- 不整脈(アミオダロン)
- 便秘薬(フェノールフタレイン系)
- 緑内障治療点眼薬(トラバスタンズ)
- 経口避妊薬
- 抗生物質
- など
鉄分や重金属の過剰摂取
通常、色素沈着はメラニンによって引き起こされますが、 鉄分、金、銀、ビスマス、水銀などのいくつかの重金属は皮膚の色素沈着を引き起こすことが知られています。鉄分の過剰(摂取だけでなく調整機能の不調も原因となる)による「ヘモクロマトーシス」や 銀の過剰、装着による「銀沈着症(銀皮症)」などです。
特定の食品
食べ物の中には、色素沈着を促す作用があるものが存在します。1つは、カロテノイドを多く含む食品です。 血中カロチン濃度が上昇すると、柑皮症の様に、 手の平、足底、顔などに黄色の色調変化が現れます。
柑皮症については、 色素沈着の原因(過剰摂取、経口摂取)をご参照下さい。
もう一つがソラレンを多く含む食品です。 ソラレンは、白斑の治療に用いられることもあるように、 紫外線によるメラニンの定着を助けます。
ソラレンを多く含む食品は以下の通りです。
■野菜
- セロリ
- パセリ
- ニンジン
- カブ
- コリアンダー
- アニスシード
- クミン
- グレープフルーツ
- レモン
- オレンジ
- その他柑橘類
アルコール
アルコールによる色素沈着は、 少量摂取、短期摂取では影響は少ないものの、 アルコールの長期かつ過剰摂取は、 以下のような色素沈着の原因となります。- 毛細血管拡張(血管炎)
- クモ状血管腫
- 肝臓疾患による手掌紅斑
- アルコール性肝疾患による黄疸
- など
脱毛
レーザー脱毛による色素沈着は、炎症後色素沈着です。このタイプの色素沈着は通常、時間によって解決することが多いものの、 男性では、 指(特に爪)を使ってひげを抜こうとすることが癖になり、 炎症と内出血により、永続的な色素沈着が発生することがあります。