目の下のクマ解消に効く漢方
漢方医学では、 目の下のクマは「お血」と呼ばれる血流の悪化が原因と考えられており、 古来より治療法が確立していました。そのため、目の下のクマの原因が血流悪化である場合、 漢方薬は価値のある方法です。
漢方では「お血」
漢方では身体の構成要素を「気」、「血」、「水」の3つで考えます。また、それぞれはさらに細かくわけられ、 合計で6つのタイプに分けて考えます。
- 気の異常を「気虚」、「気鬱」、「気逆」
- 血の異常を「血虚」、「お血」
- 水の異常を「水滞」
気・血・水 | 原因 | 具体的症状 | ||
気 | 人間の生命エネルギーの源 | 気虚 | 気の不足 | やる気、易疲労感、消化不良、めまいなど |
気鬱 | 気の流れが滞る | いらいら、怒りっぽいなど | ||
気逆 | 気が逆流 | 頭痛、めまい、吐き気、吐血など | ||
血 | 血液、または、それらによって運ばれる栄養素 | 血虚 | 血が不足 | 貧血、不眠、集中力、動悸など |
お血 | 血の循環が滞る | 冷え性、目のクマ、頭痛、生理痛など | ||
水 | リンパ、消化液など、血液以外の水分 | 水滞 | 水の流れが滞る | むくみ、めまい、関節炎など |
お血とは血流の停滞による弊害
お血とは、血液がドロドロになったり、 血栓などにより血の流れが滞ったり、阻害された結果、 新鮮さを失った汚れた血になったことを意味します。そのためお血は、十分な栄養と酸素が各組織へ届けられず、 不要な老廃物も回収されないことから、 「痛み」、「しこり」、「黒ずみ」という3つの症状が現れる、と考えられています。
目の下のクマは、お血の「黒ずみ」に当たるもので、 肌に現れるあざ、歯茎や唇の変色などと同様、 血流の停滞による症状と捉えられます。
目の下のクマに効く漢方薬
東洋医学、特に漢方において、お血を治す方法は、「活血」といい 血の流れを良くする漢方薬の種類が豊富です。漢方薬 | 効果・効能 |
加味逍遥散 (かみしょうようさん) |
のぼせ、冷え性、ストレスなどによる血流悪化に作用する漢方薬です。 精神不安や交感神経の緊張を和らげる作用もあります。 |
桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん) |
お血改善の代表的漢方です。 目の下のクマだけでなく、血流悪化による下腹部の痛み、手足の冷え症、生理不順など女性の血行不良による各種症状に効果があります。 |
桃核承気湯 (とうかくじょうきとう) |
血を綺麗にする作用があり、血流を良くします。 血流悪化による肩こり、便秘、腰痛、頭痛、月経痛などに効果があります。 |
漢方を利用する際の注意点
専門医に相談
漢方は服用することで、徐々に効果を発揮する薬です。一度服用を始めると、比較的長い期間、付き合うことになる薬のため、 自分自身にあった薬はなるべく慎重に選ぶ必要があります。
特に漢方薬は個人の体調、気血水といった全体調和を大事にするため、 信頼できる漢方医に自身にあった漢方薬を選んで頂くことが重要です。
副作用あり
自然の生薬ゆえ、副作用は比較的少ないものの、 個人の体質によってはいくつかの副作用が出ることがあります。妊婦は特に注意が必要で、 対象とする漢方薬だけでなく、その服用量にも十分に留意する必要があります。
保険適用
漢方薬は現在、約150種類に保険が適応されます。保険適用を受けるには医者に処方箋をもらう必要があるものの、 漢方薬を処方してもらえる医者は非常に限られています。
同じ皮膚科でも処方してくれるかどうかはその病院の方針に大きく依存するため、 漢方薬が必要な場合は、 事前に漢方を処方してもらえるか、 どのような漢方薬があるか問い合わせてから、訪問する必要があります。